ITパスポート試験 令和6年度分 解説
問27 個人情報保護法では、 あらかじめ本人の同意を得ていなくても個人データの提供が許される行為を規定している。 この行為に該当するものだけを, 全て挙げたものはどれか。
a 事故で意識不明の人がもっていた本人の社員証を見て、搬送先の病院が本人の会社に電話してきたので, 総務の担当者が本人の自宅電話番号を教えた。
b 新規加入者を勧誘したいと保険会社の従業員に頼まれたので、総務の担当者が新入社員の名前と所属部門のリストを渡した。
c 不正送金等の金融犯罪被害者に関する個人情報を, 類似犯罪の防止対策を進める捜査機関からの法令に基づく要請に応じて, 総務の担当者が提供した。
ア a
イ a, c
ウ b, c
エ c
解説
個人情報保護法では、原則として個人データを第三者に提供する際には、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。ただし、以下のような例外規定があり、本人の同意を得なくても個人データの提供が許される場合があります。
- 人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合で、本人の同意を得ることが困難なとき。
- 公衆衛生の向上や児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合で、本人の同意を得ることが困難なとき。
- 国の機関や地方公共団体等が法令の定める事務を遂行するうえで協力が必要であり、本人の同意を得ることでその事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
各項目について検討します。
- a:事故で意識不明の人がもっていた本人の社員証を見て、搬送先の病院が本人の会社に電話してきたので、総務の担当者が本人の自宅電話番号を教えた。
- b:新規加入者を勧誘したいと保険会社の従業員に頼まれたので、総務の担当者が新入社員の名前と所属部門のリストを渡した。
- c:不正送金等の金融犯罪被害者に関する個人情報を、類似犯罪の防止対策を進める捜査機関からの法令に基づく要請に応じて、総務の担当者が提供した。
→ この場合、本人は意識不明で同意を得ることが困難です。また、生命や身体の保護が必要な状況であるため、例外規定の1番目に該当します。したがって、本人の同意なしに個人データを提供することが許されます。
→ これは営業目的での個人データの提供であり、特段の例外規定には該当しません。本人の同意なしに個人データを第三者(保険会社)に提供することは、個人情報保護法に違反します。
→ この場合、捜査機関からの法令に基づく要請であり、例外規定の3番目に該当します。本人の同意なしに個人データを提供することが許されます。
結論:
以上より、本人の同意なしに個人データの提供が許される行為はaとcです。したがって、最も適切な選択肢はイです。